- 火災保険の給付金とは
- 火災保険の給付金申請のデメリット
- 火災保険の給付金申請の注意点
火災保険の給付金とは?
火災保険の給付金とは、生命保険などの「保険金」と同じ意味です。
つまり、自然災害などが発生して、保険の対象物が被害を被ると、給付金を受け取ることができます。
補償対象となる自然災害は保険プランによって異なりますが、概ね「火災」「落雷、破裂、爆発」「盗難」「自動車・航空機の衝突」などが対象です。
これらの事故、災害によって被害がある場合に給付金の申請が可能です。
ただし、補償の対象にもかかわらず申請を忘れてしまう人もいます。
火災や事故といった明らかな事故であれば、見落とすことがありませんが、台風などの自然災害で家の目に止まりにくい箇所(屋根など)が被害に遭うと被害箇所を確認できず、申請しないようです。
火災保険の給付金を使ってもデメリットがない理由
自然災害などが発生すると、火災保険で補償されることがあります。
しかし、あえて給付金の申請をしない人もいます。
申請しない方に多い理由として、自動車保険の仕組みと混同していることが挙げられます。
自動車保険では、保険金を受け取ると、次の年の保険料が値上げされます。
したがって、火災保険でも同様に給付金を受け取ることで、「保険料が上がるのでは?」と心配されているようです。
しかし、結論から言えば、火災保険の給付金を受け取ることにデメリットはありません。
その理由について解説しましょう。
火災保険の給付金を申請しても保険料は変わらない
火災保険は、自動車保険と異なり、給付金を申請しても翌年の保険料に影響はありません。
自動車保険は、等級制度を設けており、等級によって割引率が異なります。
等級制度では、事故が発生して、保険金を受け取ると等級が下がってしまうのです。
しかし、火災保険では、等級制度を採用していません。
そもそも自然災害で被害を受けた方の救済が火災保険の目的です。
自然災害は契約者の故意や重大な過失によって生じるわけではないので、契約者の事故歴は関係ないのです。
火災保険で、保険料を決定する要素は建物の構造や所在地、面積、補償内容といった要素です。
保険料が上がることを心配している方は安心して申請しましょう。
火災保険の給付金の申請に上限回数はない
火災保険の給付金には、申請回数に上限が設定されていません。
上限回数がないので、自然災害に遭遇した場合には、基本的に何回でも申請することができます。
契約期間内であり、保険金の支給対象となる被害に遭った場合には回数に関係なく申請可能です。
複数回にわたって給付金の申請を行っても保険料が上がることもありません。
以上の事から、火災保険の給付金は申請できる場合は迷わず申請することをおすすめします。
火災保険の給付金の使い道は自由
火災保険の給付金は、被害に遭った箇所の修繕以外に使うこともできます。
火災保険の契約書には、給付金の支払条件についての記載はありますが、給付金の使い道については言及がありません。
当然、給付金を使って被害に遭った箇所を修繕したかどうか保険会社が確認するわけでもないので、修繕しなくても発覚しません。
給付金は修繕以外に貯金や住宅のリフォーム、買い物、旅行など契約者が使い方を自由に選択することができるのです。
ただし、給付金を修繕に充当しない場合、損害が拡大する恐れがあり、必要な修繕費が増えることもあります。
一般的には、修理費用としての保険金のため修理しておくのが良いでしょう。
火災保険の給付金を使う時に知っておくべき注意点
基本的に火災保険の給付金を使うデメリットはありませんので、自然災害の被害に遭ったら可能な限り申請することを推奨します。
しかし、火災保険の給付金を使う上での注意点がいくつかあります。
注意点を知らないまま、給付金を申請した場合に、次回以降申請ができなくなってしまう可能性があります。
注意点をしっかり確認した上で申請するかどうかを決めましょう。
火災保険の給付金が給付金額の80%を超えると契約が終了する
1回で受け取る火災保険の給付金の金額が保険金額の80%に達すると契約が終了します。
保険金額の80%以上とは、火災による消失、水害による流失といった修繕不可能な状態(全損)になるような被害です。
全損によって継続して住める状態にない、つまり契約物件が存在しないものとして扱われるため、契約が終了となるのです。
したがって、10年の保険契約を締結した場合に、5年目で住宅が全焼してしまい、給付金額の80%を超える給付金が支給された場合、契約が終了します。
逆に言えば、全損となるような被害に遭遇しない限り給付金が給付金額の80%を超えることはなかなかありません。
修理しないと同じ箇所の再申請はできない
火災保険の給付金は受取人が自由に使うことができます。
被害があれば、修繕に使う人が多いかと思いますが、海外旅行や趣味に使っても特段問題はありません。
ただし、ここで注意したい点は同じ被害箇所に対する2回目の申請です。
つまり、以前被害があり、給付金を申請した箇所について再度給付金を申請する場合です。
この場合、「重複申請」とみなされ、給付金を受け取れないことがあります。
例えば、次のような場合でも申請ができません。
台風によって、飛来物が住居を直撃したと仮定しましょう。
幸いにも怪我はありませんでしたが、壁に小さな穴が空きました。
被害状況を保険会社に報告し、給付金を受け取ります。
しかし、生活に支障がなかったので、給付金は旅行に使ってしまいました。
数カ月後、再び台風に襲われ、衝撃で壁の穴が大きくなりました。
このような場合、前回の給付金で修繕しなかったことが一因となっているので、給付金の申請はできません。
一方で、前回の台風発生時に給付金を使って修繕を行ったと仮定します。
この場合、再び同じ箇所が被害に遭っても申請が可能です。
火災保険の給付金の申請期限は3年間
保険法第95条では、火災保険の給付金の請求期限を3年に設定しています。
したがって、建物に被害が発生してから3年が経過すると給付金を申請することはできません。
これは自然災害による被害と経年劣化を区別するため、また保険会社の負担を軽減する目的があります。
しかし、3年以内であっても被害状況は刻々と変化します。
3年が経過する直前には、被害が自然災害によるものか、経年劣化が原因なのか分からないかもしれません。
被害が発生したら、速やかに保険会社に給付金の申請を行いましょう。
全損・全焼すると火災保険の契約は終了する
自然災害や火災によって、建物が全損・全焼すると火災保険契約が終了します。
全損、全焼すると建物の継続的な利用が不可能になり、火災保険の契約対象物件が消滅するためです。
保険会社によっては建物が全損・全焼していない場合でも保険金の80%相当額が支払われた場合には全損とみなして火災保険の契約を終了する場合があります。
建物があった敷地に同じ建物を再築しても、新規で火災保険に加入する必要があります。
ちなみに全損・全焼の場合、契約時に設定した保険金額の全額が支払われますが、保険料抑制の目的で、保険金額を建物の評価額以下に設定していると、建物の資産価値以下の保険金しか受け取れません。
火災保険の給付金の申請から受取まで30日程度かかる
自然災害や火災が発生し、給付金の申請をしてから実際に受け取りができるまで30日程度かかります。
しかし、被害額が100万円など多額に上る場合には、損害を鑑定する人が保険会社から派遣されて、現場確認を行うので、さらに時間がかかることがあります。
逆に損害額が小さく、損害状況がわかる証拠写真があれば、申請から3日から1週間程度支払いがされることもあります。
早く火災保険を受け取って、修繕を急ぐためにも必要な書類を揃えた上で迅速に申請しましょう。
火災保険の給付金の虚偽申請を勧める業者がいる
火災保険の給付申請をサポートする業者の中には虚偽申請を強要する悪徳業者が一定数いるようです。
悪徳業者による詐欺事件は少なからず発生しており、知らない間に犯罪の片棒を担ぐことになってしまいます。
例えば、補償対象にならない被害を申請させて、給付金のうち相当額を要求してきます。
最悪の場合、故意に家の中のものを壊して、火災保険の給付金を申請する場合があるようです。
故意に破壊した箇所は給付金支給の対象にはなりません。
虚偽申請では、返還請求をされることもあるので、悪徳業者には注意しましょう。
火災保険の給付金を申請しよう(申請サポート業者を使った場合)
火災保険の給付金を受け取ることにデメリットはありませんが、申請する時には虚偽申請などに注意して手続きを進める必要があります。
ここからは、申請サポート業者を使う前提で火災保険の給付金を申請する方法をご説明します。
自力で申請することも可能ですが、事故の内容を詳細に説明する報告書や修繕の見積書など専門的な知識がないと用意できない書類もあります。
したがって、専門的な知識がない方や忙しくて対応が難しい方は申請サポート業者にすべて任せた方がいいでしょう。
火災保険の申請サポート業者へ連絡する
火災や自然災害から自身の安全を確保してから、火災保険の申請サポート業者に連絡しましょう。
申請サポート業者を利用することで、給付金の申請から受け取りまでがスムーズに進みます。
担当者が派遣されて、詳細な被害状況を調査してくれます。
保険会社に連絡する
契約時に交付される保険証券に記載されている事故受付窓口に連絡します。
連絡方法は電話だけではなく、インターネットの場合もあります。
連絡時には契約者の氏名、被害発生の日時、被害の原因や状況について詳細に説明します。
保険会社へ必要書類を送付する
保険会社から必要書類の提出が求められるので、記載の上、送付しましょう。
必要な書類の例は以下のとおりです。
- 保険金請求書
- 修理見積書
- 被害状況がわかる写真
- 事故内容報告書(火災保険の申請サポート業者が作成)
- 損害明細書
- 住民票
- 印鑑証明書
- 建物登記簿謄本
これらの書類を準備して、保険会社に送付します。
保険会社が実地調査を行う
保険会社が委託した損害鑑定人が派遣されます。
鑑定人は実地調査を行い、被害状況が申告内容に一致しているか確認します。
ただし、実地調査がなく、ヒアリングだけで終わることもあります。
また、そもそも鑑定人が派遣されないこともあるようです。
保険会社が保険金を支払う
実地調査の結果を踏まえた審査結果が通知されます。
保険金の金額が決定したら、契約者が指定した口座に振り込まれます。
後日、支払金額の明細についても案内が届きます。
減額や否認の場合、追加書類を提出するなどの対応が必要になることがあります。
【まとめ】火災保険の給付金を使うデメリットはないが注意点はある
この記事では、火災保険の給付金を使うデメリットがないことを解説しました。
火災保険の給付金を受け取っても保険料が上がることはなく、基本的に何回でも申請することができます。
給付金の申請は保険契約者の権利ですので、給付金を申請しないデメリットの方が大きいと言えるでしょう。
一方で火災保険の給付金を使う時には注意点をよく理解しましょう。
特に給付金の請求の時効や前回修繕しなかった箇所の給付金の再申請について、理解しておかないと給付金を受け取る権利を行使できないかもしれません。
注意点に気をつけた上で、保険対象の建物に被害が発生した場合には給付金を申請しましょう。